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2008年9月20日 (土)

満州のでっかい?夕陽

080920_3 この日の昼食は、長白山賓館(ホテル)の別棟にあるレストラン。「地球の歩き方」によれば、たぶん「長白山吉菜食府」であり、であるならば「あまりにも有名な」吉林省の郷土料理専門店だそうだ。旅程書には単に「麺料理」としか書いてなかったけど。
 今回の旅行は、どこも食事はよかったのですが、「一番は?」と聞かれれば、たぶんほとんどの人はここだと答えるのではないでしょうか。上品な味付け、油も控えめで、かなり日本人向けでした。キクラゲなんかおいしかったなあ。日頃の野菜不足をカバーすべく、余った野菜料理はかなりいただいてしまった。
 「麺料理」といっても、細長い麺だけを指すのではなく、小麦粉を練ったものはすべて「麺」とされるらしい。しかし、ここでは細長い麺料理が出てきた。ダシをケチった塩ラーメンといった感じで、こればかりは全体的に不評だった。
 とはいえ、全体的に味が濃い料理が続く中で、日本のラーメンのようなものを出されても、インパクトは薄れるのではないだろうか。むしろ、この方が口の中がさっぱりしていいと思った。
 いよいよ長春ともお別れ。満州に何らかの関心がある人にとっては、一日や二日で回れる街じゃないことはよくわかった。ハルビンもそうだけど、またいつか訪れてみたいものです。上の写真は、長春駅前の旧新京ヤマトホテル。そう、次は各地の旧ヤマトホテルに泊まる旅だったら最高かも。
 長春から瀋陽への列車は、向かい合わせ4人掛けの「軟座」と呼ばれるタイプ。今度は20人がひとかたまり、のはずなのに、指定された席には若い中国人女性が一人座っていた。このままでは当然、席が一人分不足してしまう。
 いくら自分の国とはいえ、20人もの団体が自分の周囲を取り囲んだ挙げ句、「そこはあなたの席ですか」と聞かれたら、少しは不安になるものだろう、と思う。しかし姉ちゃん、慌てず騒がず、自信たっぷりに自分の指定席券を見せてくれた。
 実はこの列車、2階建て車両なのです。姉ちゃんの席番号は確かに正しいのですが、それは2階側だったのでした。我らのガイド楊さんがそう指摘すると、姉ちゃん、悪びれもせずに席を移っていきました。たった一人の例で「だから中国人は…だ」とは言いたくないのですが、内心そう思ったのは確かです。
 長春までは3時間半ほど。おじいちゃんグループは何と酒盛りを始めました。さっきあんなに食べたばかりなのに、元気だなぁ。こうじゃないと、80歳前後で何度も海外旅行に出かけられやしないのかもしれない。
080920_4  僕ら個人参加グループのうち、「おかみさん」はこの長春〜瀋陽間にビッグイベントが控えていました。下妻A旦那が長春生まれだったように、おかみさんは瀋陽の北にある鉄嶺生まれなのだそうです。お父上が満鉄に勤めていて、名前も鉄嶺にちなんでつけられたといいます。「坂の上の雲」では、一方の主人公である秋山好古が今際の時にしきりに口にしたという地名です。
 この列車は鉄嶺で数分停車するので、鉄嶺の駅名表示板の横で記念撮影するのが、おかみさんの念願なのです。60年ちょっとぶりに、自分の生まれ故郷の駅をやっと訪ねられるなんて、ロマンチックだよなぁ。もちろん、幼い時の引き揚げという、とてつもない苦労もあったのだけど。
 話は飛びますが、NHKのBS2で月に一度ぐらい放映する「お宝TVデラックス」で、確か6月頃、ドラマ「大地の子」を振り返る回がありました。ゲストの俳優・宝田明さんが子供の頃を過ごした満州の思い出として、「夕陽が真っ赤ででっかいんだ」と語っていました。
 佐野真一氏の「阿片王ー満州の夜と霧ー」でも、草柳大蔵氏の「実録・満鉄調査部」で、日本に引き揚げた少女が母親に「日本の夕陽はどうしてあんなに小さいの?」と尋ねるエピソードが載っていることが紹介されている。
 まだ湿度が高く雲の多い時期なので、夕陽を見るのは無理だと思っていたのですが、西側の窓を見ると、いくらか霞んでいるものの、落陽する様子が見えるじゃないですか。でかかったかと言われると、写真の通り、そうでもありません。ただ、秋が深まって雲一つないような日だったら、地平線に沈む夕陽は赤く、でっかく見えるのかもしれません。
 鉄嶺駅に着いた頃はかなり日が沈んできましたが、おかみさんは無事、長年の宿願を果たすことができました。偶然ながら、こういう小さなドラマを傍らで見られたのは幸運でした。

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