« 星新一「明治の人物誌」 | トップページ | 飛騨高山 »

2006年9月 3日 (日)

旅路にて

 9月2日(土)
 白川郷から高山へ向かう途中、多少うとうとしつつバスガイドさんの話を聞いていると、「もう少し行くと珍しいダムが見られます。普通はコンクリートでがっちり固めてあるけど、石を積み上げて造ってあるんですよ」と話していた。
 「ああ、ロックフィルダム か」と、何の気なしに聞いていると、「このダムを造るために230戸の家が湖底に沈みました」と、ダムに付き物の話になった。興醒めしかけたが、「水没地区のお寺に樹齢400年とも言われる大きな桜があって・・・」と続いてびっくりした。
 去年の今頃、読み終えた水上勉の小説「櫻守」の話じゃん。岐阜県にあるダム工事での実話だとは知っていたけど、まさかこんな山奥も山奥のダム工事での話だったとは。
 バスの窓越しに、しげしげとその御母衣ダム の偉容を眺める。完成したのは僕の生まれた年という。着工したのは約50年前。「櫻守」でも桜の移植に伴う苦心ぶりはよくわかった気がしたけど、図らずもこうして現場に来てみると、文字通り気の遠くなる作業だったのを実感する。これは思わぬ収穫その1。
 御母衣ダムから20分ほど走って、移植に成功した荘川桜 をやはり車窓越しに見る。老木にふさわしい幹の太さや樹皮の古びぶりだけど、春には見事な花を咲かせるとのこと。あいにく、僕の座っていた席の列とは反対側の窓越しだったので、写真を撮れなかったのは残念だった。
 高山からは松本へ抜けて中央線の特急で帰京する。昨夜、元同僚にそう話したら「すごい旅程ですね」と、半ば呆れられてしまった。確かに、特急の発車時刻の3時間半前に高山を発つくらいだから、相当走るのかもしれない。
 ところが、全く知らなかったのだけど、東京湾アクアラインが開通した1997年、岐阜−長野県境に約4・3キロの安房トンネル(あぼう、と読みます)が完成し、国道158号線の難所だった安房峠越えが僅か5分に短縮されたんだそうです。
松本駅乗車 という旅程も、このトンネルがあって初めて可能になったとのこと。
 結果から言えば、高山ー松本間は途中、道の駅での休憩を含めても2時間20分程度だった。ツアーを組む段階では様々な遅れを想定した旅程を作ったんだろうけど、順調に進んだお陰で、最後に時間が余ってしまったわけ。
 安房トンネルの長野県側は、上高地へ向かう釜トンネルの辺り。てことはこの道、小学6年生の時に友達の一家とご一緒させてもらった旅行で通った道だ。道沿いを流れる梓川には、松本へ向かって順に奈川渡ダム、水殿ダム、稲核ダムと現れるはず。確か揚水発電をしていて、奈川渡ダムは内部の見学もしたっけ。そのお陰で、真保裕一の「ホワイトアウト」も、小説を読んでるだけでかなりイメージがつかめたものだった。思わぬ収穫その2。
 松本駅では浴衣姿のお姉ちゃんが結構いた。今頃、どこかで祭りかと思ったら、諏訪湖で花火大会だという。僕らが乗った特急が諏訪湖近くを通るのが19時頃。うまい具合に花火大会が始まり、数分のことながら車窓越しに大きな打ち上げ花火を楽しめた。これが思わぬ収穫その3。
060902_4
 休憩した道の駅「風穴の里 」は水殿ダムのすぐ近くだった。

|

« 星新一「明治の人物誌」 | トップページ | 飛騨高山 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/169228/11741718

この記事へのトラックバック一覧です: 旅路にて:

« 星新一「明治の人物誌」 | トップページ | 飛騨高山 »